彼氏と彼女の24時

andymoriが解散するってニュースが届いた時に
どちらかと言えば、遠い世界のお話のように聞こえた。
自分の街から遠く離れた、別の街の天気予報を見ているような。

身近な人がそのニュースに悲しんでいるようで、とってもやるせなくなって
ぼくは新しいアルバムも出るし!解散ライブもあるし!
(死んだわけじゃないんだから)彼らの音楽は続くよ!
なんてことしか言えなかった。

でも、本当にそう思っていた。
最後の最後にひとつの作品と、ライブを用意することがオーディエンスへの最大の愛の表れなんだと思っていた。
というかそう思えなきゃ、バンドの解散なんていうのはどんなバンドであろうと辛すぎる。
だから、最後の瞬間の一撃。
それがあればどんな別れも受け入れられると、思っていた。

昨日、blood thirsty butchersが新しいアルバムを録音済みであり最高傑作なのだというニュースが、ナタリーだかなんだかで流れた。
でも吉村さんは、死んじゃった。
最後の瞬間の最後の一撃を残してくれたけれど、吉村さん死んじゃったよ。
やっぱり、それはとっても悲しい。

思えば初めてライブハウスに行った、あの日も彼はいたし
初めてエフェクターを買った、あの時も彼と同じものを買った。
どこまでも届くし、何もかもを変えてしまえるようなファズとディストーション
不良にはなれなかったけれど、あいつらよりも悪い「音」に憧れた。

今夜は母と6kmくらい軽く走った。
5月の終わりの風はまだ少しだけ肌寒かったけれど、実はどこまでも走れるような気がした。
風の冷たさよりも、体の中の熱は何倍も何倍も熱いものだと知った。
このスピードを保っていたい。
このバンドで存在していたい。



叶うことのなかった夢の終わり。
ブッチャーズと共演するという中学生の自分の夢。
それは空に返してやろう。

最後の瞬間の最後の一撃、新しいアルバムを心底楽しみにしています。

吉村さん、ありがとう。


K.K



【今日の新曲】


「彼氏と彼女の24時」

この娘
いつも僕より先に寝てしまう
猫とか犬よりは鳥っぽく寝ちゃう
いびきと言うよりはねごとっぽい音で
ねごとと言うよりは歌ってるみたいに

この娘
真っ赤な他人のぼくを横にして
古い井戸の底 地球の裏側まで
届きそうなほどの眠りに麻痺してる
楽園がどこだかこの娘は知っている

彼氏と彼女の24時
夢の中でだけはひとりきりになりな
せめて夢の中はひとりで寝てな

この娘
空を飛べる方法を知っている
昨日行きの電車にだって乗れる
夜を朝に変えるのもへっちゃらで
嫌なことだってすぐに忘れられる

彼氏と彼女の24時
夢の中でだけはひとりきりになりな
せめて夢の中はひとりで寝てな

「さみしいことなんてひとつもないわ!」

彼氏と彼女の24時
夢の中でだけはひとりきりになりな
せめて夢の中はひとりで寝てな