楽曲解説『2014年のNATSUMI』③
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このコラム『2014年のNATSUMI』は、ぼくのソロアルバム『NATSUMI』をぼく自身で楽曲解説するというコラムです。
買ってない人は買ってから、すでに買ってくれた人は流しながら読むとなお良いのではないでしょうか。
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◆Track-07「だれとねむる」
2013年7月制作。
わたしたちの暮らしを彩るほとんどのものに値段がついている。
ご飯、レコード、洋服。
それらは『購入』というゴール地点を持っている。
つまり最終的に金を払うことによって『所有』できるのだ。
値段の中には使用料というものもあって、それは主に無機質なもの(携帯電話やインターネット、テニスコートにカラオケボックス、電車やタクシーに乗る時にも)なんかに課されるものであります。
これは一時的に『使用』できるだけであって『所有』することはできない。
あるツアー先のある町のあるホテルで、あるミュージシャンがエレベーターから女の人と降りてくるのを見た。
女の人はそのまんま強面の運転手がハンドルを握った黒塗りの車に乗り、ミュージシャンは夜の街に消えていった。
デリバリーヘルスという仕事を生で見たのは、それが初めてだったもので変な興奮をぼくは覚えたのだった。
一時的な夜を彩るため、こうやって人に使用料をつける仕事がある。
だれかとねむるのに、金が発生しているってわけだ。
それをぼくは少し悲しく思う。
だって、つまり、人にはすべからくそれぞれに価値がないってこと?
この時期、夏の暑さとそれぞれの想いから目を逸らすため、ぼくとなつみは別々の布団で眠っていた。
◆Track-08 「悲しみの分け前」
2013年6月制作。
辛い時期。
心がどんどんバラバラになっていくのを感じていた。
なつみと会っても粗探しばかりをしていたし、きっと向こうもそうであったように思う。
最もの悪はそれを一切口に出さなかったことなのだけど。
体や心や、もっと言えば人生が容器の形をしていたとしたら、人間ひとりが一生の内で感じる悲しみや寂しさの量が元から決まっていたとしたら。
俺はそれを手放すだろうか?
悲しみや寂しさを、誰かのせいにするのがぼくの悪い癖であって、お人好しと呼ばれるゆえんでもある。
エレキギターに聞こえる音は、アコースティックギターを思いっきりひずませて録音した。
今作8曲目にしてやっとエモーショナルな輪郭が現れる。
実はぼくが監督脚本撮影をしたこの曲のMVがあるのだけれど、それは今のところ公開される予定はない。
大雨が降った高尾山の山頂でなつみを撮影した。
明日はTrack-09「simple dreams」〜です。
明日でA面終了。
今日も読んでくれてありがとう。
金田康平サードアルバム
『NATSUMI』
2014年3月5日(水)発売
品番:WLZ-001
形式:CD
価格:¥2000+税
レーベル:Waltz Records<トラックリスト>
1.なつみちゃん
2.サリエリ!(モーツァルトをぶっとばせ)
3.ぼくがまだ空を飛べていたころ
4.ロックンロール
5.運転免許証
6.だれとねむる
7.悲しみの分け前
8.simple dreams
9.うたはひきだしに
10.なっちゃん、海に行こう
11.真昼の花火
12.shine a light
13.かわいいよビッチーズ
14.HEROIN
15.カレーライス
16.サマー・レッド
17.歌手たち
アルバム先行シングル「カレーライス」MV
出演 菅野結以 金田康平
監督 川崎龍弥
▼取扱店
金田康平『NATSUMI』は全国の大型CDショップ、iTunes、amazonどこでも購入できます!
▼特典情報
※TOWER RECORDS
→『金田康平のアノ日』
(収録曲)
1.my friends&your soul forever(LIVE) / カレーライス(LIVE)
2014年1月新宿JAMでの最速ライブ録音から、未発表曲『my friends&your soul forever』と、シングル曲『カレーライス』の2曲1トラックライブです。
※disk union
→CDRシングル『主題歌』
当初アルバム一曲目に収録予定だったピアノ曲『主題歌』1曲入りのシングルです。
こちらも未発表曲となっています。
グランドピアノ、シンセサイザー、オルガン、歌のみで録音された今まで聞いたことのないタイプの曲となっています。
こちら必聴。
※ヴィレッジバンガード下北沢店
→『イラスト付サイン色紙(テーマ:女とは?)』
おなじみのヴィレバンの黄色いPOPに金田直筆サイン&イラストとともに『女とは〜である。』という言葉が書いてあります。
全種類ちがう言葉ですので、くじ引き感覚で楽しんでくださいね。
【今日の新曲】
『なあ、太陽』
ぼくらはぼくらをほとんど知らない
どんなことで笑うの?
どんなことで泣くの?
風が吹いたら花は揺れるでしょう
なあ、ぼくの太陽
ぼくにとってのひまわり
きっといつまでも
忘れられないだろう
そんな人がいる
でもそんなことも忘れられる
ぼくらはなににも例えられない
青空にひこうきぐも
星空にこのワルツ
それでもいつもぼくらは新しい
なあ、ぼくの太陽
ぼくにとってのひまわり
寂しくなる前に
小さく手を振った
どこか遠くまで
影を伸ばして走れよ
ぼくらはぼくらをほとんど知らない
どんなことで笑うの?
どんなことで泣くの?
風が吹いたら花は揺れるでしょう
なあ、ぼくの太陽
ぼくにとってのひまわり