歳のとりかた

日々の泡とは、ビールの泡。
夜毎、シュワっと消えていく。
あのビールの泡のことである。

ツアー下北沢にて'13の地方公演も残すところ福岡、高松の二本。
どの日も、またその間の日も、日々の泡(ビールの泡)が消えていく姿は愛おしく眼球に焼き付いている。


11/22
ゆっくり一日かけて広島まで移動。
ツネの実家にお世話になる。

広島の港町にあるツネの実家にはよく世話になっているのだがとても好きだ。
一度だけ早朝に港まで行ったことがある。
朝もやけの中で、片手を失ったオカリナ吹きがいた。
それは幻のようで、蜃気楼のようで、でもいくら目をこすっても確かにそこにいた。
頭を振って気を取り戻して、その音を聞きながら31アイスクリームを食った。


うまい寿司屋で、サザエの壺焼きを食って寝る。


11/23
ツネの実家で目覚め、ピザを食いに山を越える。

何年か前に広島の奥地(?)世羅の祭でライブをやったことがある。
この日、食べたピザはその世羅で採れたピチピチの野菜でつくったピザ。
とてもおいしかった。
土は俺たちの命の味だ。


福岡に移動し、夜はTHEラブ人間決起集会「下北沢にて"13」@福岡でした。

歌いたいことなんてひとつもなくなる日まで、どれだけの時間が必要なのかな、とふと思った。
歌いたいことがなくなった時が、歌をやめる時かもな。
そうだったとしたら、その時なんて来なきゃいいのに、と思う。
今はまだステージに立つ前よりも、歌い終えた後の方が何倍も自分の中が満タンになっている気がする。
それは体力や気力と反比例している。
たとえばオーディエンスの顔や、声や、きらめきから何か大きな力を吸い込んでいるような。

九州はオーディエンスだけではなく、周りを支えてくれて、ずっと応援してくれているみんなもいる。
ラジオ局のみんなや、イベンター、オーガナイザー。
みんながいるから、会いに行きたくなる。

出演してくれたBAND AとWiennersにも最大の感謝を。
熱は、擦り切れ、風になり、破裂する。
その破裂音は人々の叫びだ。


11/24
福岡で目覚め、間も無くのラーメン。


そのまんまスタジオに入り、練習。
来月のワンマンライブに向けて、ここ最近ライブでやっていない、あの曲やこの曲。あんな曲やそんな曲を歌う。
年月が経ち、風化する気持ちがある。
忘れてしまったことも、たくさんある。
けれど、俺の歌はそれを思い出すことができる。
そこに映写機能や印画機能はない。
けれど、その時吹いていた風を吹かせることができる。
それが、俺の歌だ。


広島に移動し、またツネの実家で一泊。
牡蠣の天ぷら、ソーデリシャス。

ロンリーとチャップリン


11/25
高松DIMEにて、THEラブ人間決起集会「下北沢にて"13」でした。
本当に来てくれたみんなありがとう。


俺はいつも朝を迎えて、ライブハウスに入り、リハーサルをして、その日の共演者やクルーたちと話したりして、街を歩きながら、この街で、今この時間にしか歌えない(というか歌いたくない)歌を探してる。
そしてやはり、それはいくら考えても、ステージに上がるまでわからない。
それを持ち時間の中で暴き、曝すことが俺の仕事だと思ってる。

けれど時々、最後までわからない時がある。
自分がここになぜ立っているのか理解できないまんま、体だけが反応して、歌わせてくれる夜。
心や頭を使わずに、反射神経だけでぶつかることができる夜。
それはまさにこの日の高松だった。

自分の理解が及ばないほどの自分を見つけることができたのは、素直に感動する。
こんな戦いをしたい。本当は。

忘れらんねえよWienners、そしてこの日フードで入ってくれた高松の六ろくに感謝。


そして岡山での初ソロライブが決定。
しかもワンマン。
俺はまだ岡山で人気があるとは言えない。
ワンマンやるの早すぎるって声もあります。
だからこそ、ヤバイ夜にしたい。
ぶちかましたい。
岡山近郊のみなさん、ぜひ味わいに来てください。
小さなカフェですので、早めの予約を。


▼12/21(土) @岡山cafe musiqa
■金田康平ワンマンライブ『昨日、今日、明日』
■¥2500
■18:00/19:00
■ご予約は086-238-4190
info@cafe-musiqa.com



11/26
東京着。
おかもとえみラストツアーも残すは下北沢のみ。
帰って来たよ。
旅はまだ続いてる。


K.K



【今日の新曲】

「歳のとりかた」

まだ電車のある時間
PM10:00のひとかけら
今夜はちょっとあったかいから
歩いて帰ることにした

タクシー片道くらいの
金は財布の中に入ってるけど
今夜はちょっとさみしすぎるから
乗らずにゆっくり帰ろう

昔そんなことを歌ったことがある
覚えてる?

会わなくなってから
きみは何才、歳をとった?
ぼくはここ12日くらいで
4才くらいは歳をとった

心の浮き沈みなんてのは
今夜の天気と変わらない
きっと明日はちょっとだけ色を
変えただけのまた違う今日だ

名前も知らない花が咲いている
名前も知らない大通りの脇に
名前を忘れた元恋人と歩いた
名前負けしたバス停の脇に

昔つくった歌を聴いて歩いた
今はどう?
あれから一度でも何かに勝てたか?

会わなくなってから
きみは何才、歳をとった?
ぼくはここ12日くらいで
4才くらいは歳をとった

コンビニを見つけるたびに
トイレをかしてもらって
声を出さずにそのたび泣いた
気づけばそんな泣き方を覚えた

会わなくなってから
きみは何才、歳をとった?
ぼくはここ12日くらいで
4才くらいは歳をとった

誰と過ごしてる?
酒はうまく飲めてる?
金をできるだけ使わないで
うまく飲めてるかい?

おまえは俺の宝物だ