10/4@下北沢MOSAiC

10/4@下北沢MOSAiC

今夜、一枚も写真を撮っていないことも
レコーダーの録音ボタンを押し忘れたことも
DVD録画をしなかったことも
全部、必然な気がしてならない。

一秒たりとも忘れられない時間をステージの上で過ごせることなんて、実はそうそうない。
大体ぼや〜っとした、曖昧な記憶になる。
映像は砂嵐、音は電波の悪いラジオのよう。

でも今夜に関してはどの瞬間もきっちり覚えてる。
写真も、音も、映像もなにもなくても、全部大切過ぎて、終わりたくなくて、覚えてる。

こんな気持ちで歌うのは、はじめてだったかもしれない。
思えば、ちょうどここ一ヶ月間は、ぽっかりと空いた心の八割を埋めるために、歌いまくって、曲をつくりまくって、無駄なことを考えないようにしてきた。
目の前の夜をどれだけ熱くさせれるか、自分をどれだけ熱くさせられるか。
ただ、それだけの一ヶ月は濃厚で何にも換え難いものだった。

でも、やはりつくづく歌を書くということはワガママな行為だなと思う。
歌を書く作業というよりか、作品にしたりライブで演奏する行為自体のことかもしれないけれど、俺が歌にして届けようとしてることは、その人にとってはありがた迷惑なのかもしれないんだから。

歌い終えて何時間か経った今も、なにがなんだかわからない。
それでもやっぱり俺は歌を書かずにいられないし、その人の前でありのまんまに、馬鹿正直なくらいに、ダサくて情けない姿で歌わずにはいられないんだと思う。
俺はそうやってみじめな姿を、その人にだけは見せたいのかもしれない。

あー俺はなにも変われちゃいないんだな。
そんな簡単に変われるような時間を過ごしてきてないものね。
しょうがない。
でも、人生の勝負時は待った無し、だよな。


夢の話。
俺が歌う時、夢はライブハウスのはしばしに落ちてる。
スピーカーの裏側に、バスドラムのペダル下に、PA卓に、照明卓に、ビールサーバーの中に、楽屋の灰皿に、渡されるドリンクチケットに、きみに、お前に、あなたに、夢は隠されてる。

俺はそれをステージの上で見つけて歌に混ぜる。
アコースティックギターの弦に、それを巻く。
ヘッドピンにそれを刺す。
喉の中で鳴らし、歌にする。

今はまだ小さくて、未熟で、頼りなくて、青白く光ったきみの夢。
きみの夢が叶えばいいね。

俺の夢は今日むりやり叶えてしまったから、あとはきみの夢がちゃんと叶えばいいね。
音はデカイ方が好き。
ギターと歌は目の前で鳴っていてほしい。

はやく歌にしなくちゃ。
うわ、またこいつ歌にするのかよ。


K.K


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