ばらの坂道

歳をとる。
確実に、ゆっくり、じわじわと、漂白に近づいていく。
祖父の一周忌。
墓に行って、涙が流れなかったのは初めてだった。

この日は下北沢と高円寺で歌った。
歌うのは辛いかなと思ってたけど、音楽があってよかった。
言葉よ、音よ、歌よ、魂よ、空をつんざけ。
届け、と祈るように。


親友、ヤスエの誕生日に歌った。
靖子ちゃんも、誕生日だったみたい。
誰かのことを偉そうだけど、祝福する歌を俺は持ってる。
それは誇りだ。


四国ツアー、はじまった。

ツアー中はできるかぎりうまいもんばっかり食うことにしてる。
出来るだけやすくて、東京じゃ食えないもん。
東京では高級なレコードや本も、なぜか安いので馬鹿みたいに買ってしまう。

それはやっぱり自らを瑞々しくさせる肥料であるが、金はどんどんなくなっていく。
今月の保険代と携帯代だけは残しておかなくちゃ。(これはメモとして。)


四国ツアー初日@高松DIMEは祝福の夜。
SEBASTIAN Xのセカンドアルバムのレコ発でした。
本当に、おめでとう。

球は遠くに飛ばそうと肩肘を張って投げると、目の前にぼとりと落ちてしまうらしい。
テレビの中、野球中継が俺に教えてくれた。

振りかぶって投げる。
一塁への牽制なんて、俺には出来ない。
言い放つことが、すべてだ。
空を飛べたと言い張るきみは、きっと空を飛べたのだ。


今日は高松で完全なるOFF日。
うどん食って、アイス食って、スタジオ真剣に入って、アイス食って、散歩して、ハンバーグ食って、珈琲のんで、ゆったり過ごしました。

明日は松山サロンキティ
明後日は徳島グラインドハウス
四国ツアー残り2本。
きばります。

未だ一度も行けていない高知。
いつか、絶対行きます。
待っててください。
その時は、タイマンでやろう。

松山は二年ぶり。
徳島は一年半ぶり。
そんだけ時間が経てば、お互いその分、歳をとるね。
環境も変わったろう。
俺たちも変わったよ。

でも結局あの時のこと、覚えてられる限りは、あの日のこともまとめて、俺たちは歌うから、変わった姿見せに来てよ。
散々笑ったり、泣き明かした夜のこと、俺に話してくれ。

一緒に歳をとるって、出会ってしまった日から俺は決めてるよ。


K.K


【今日の新曲】

「ばらの坂道」

今日の残業はちょっとキツかった
その度、弱音は引き出しの中さ
それでもそろそろ満タンになって
こぼれ落ちそうだ 溢れ出しそうだ

押入れの中の古いギター
小遣い貯めて買った あのギター
当然だな お前も老けてきたな

初めてFコード押さえられるようになった日を
今でも時々思い出すのさ
「新曲を聴いてくれ」
お前のアパートのドアを叩いたあの夜
調子よくやってるか?

会議が長引いて すっぽかしたお前に
その度、言い訳吐きちらす俺
それでもお前はくちびる噛んで
冷たい部屋ひとり 部屋を暖めて

俺の誇りだったダブルのライダース
365日着ていたよな
気づけばいつの間にか三着のスーツを
着回ししてすごす 四つの季節の中

初めてFコード押さえられるようになった日を
今でも時々思い出すのさ
「新曲を聴いてくれ」
お前のアパートのドアを叩いたあの夜
調子よくやってるか?

たとえばさ
「この街を一緒に出よう。」と俺が言ったら
はにかんで うつむいて
遠慮はせずにぶん殴ってくれ
「まだやれるでしょ。」って

初めてFコード押さえられるようになった日を
今でも時々思い出すのさ
「新曲を聴いてくれ」
お前のアパートのドアを叩いたあの夜
調子よくやってるか?