エンケンさんのカレーライス

みなさん、こんにちは。
8月になりました。
ぼくは今月の13日で27歳になるんですが、誕生日といえばプレゼントですね。

欲しいもの(大体のものが安いもの)は25歳を過ぎた頃から自分で買えるようになってきたので、プレゼントになにが欲しいかと聞かれると毎回困ってしまいます。
そりゃレコードも服も珈琲豆も映画のDVDも、自分で金出さないでいいならいくらだって欲しいけど。
誕生日やクリスマスに欲しいものって、一生忘れられないようなものがいいな。
一生忘れられないようなものってなんだろう。
本当に欲しいものって、もっとずっとこの場所から遠くにあるものなのかも。

27年間を振り返っても、自慢できるようなことって少ないです。
どれもこれも恥じらいと、後悔がつきまとってしまうものですから。
でも、「エンケンさんにカレーライスをおごってもらったことがある。」
というのがぼくの人生の一番の自慢。
今日はそんな自慢話。

THEラブ人間決起集会「ぼくの愛した女たち」にエンケンこと、遠藤賢司さんが出演してくれたのは今から三年前の2010年8月。
渋谷のBYGにライブを観に行き、そのまんま打ち上げにもぐりこみライブオファーをしたのでした。

エンケンさんは猫のようにふにゃっとしていてかわいい。
いつもやさしく心を開いて、迎え入れてくれる。
それはエンケン宇宙と呼ばれる、あの空間への入口。
エンケンさんのライブを観に行ったことがある方は、きっとわかるでしょう。
その目の底に潜めてる大量の火薬があることを。

24歳のぼくはその火花に怖気づきそうになりながらも「イベントに出て欲しいんです!」と言い続け、ごめんなさいごめんなさいと何度も言ったことを覚えてる。
エンケンさんはその間、目を見て、じっと話を聞いてくれた。

会話が終わり、小さな沈黙と空白を埋めるように「カレーライス食べるか?」ってエンケンさん。
ぼくはゴロッとしたにんじんのことばかりを覚えていて、味はすっかり忘れてしまった。

その数日後、すぐイベント出演決定の連絡がきた。
有馬くんに泣きながら電話した。
有馬くんはよくやったねって言ってくれた。



純音楽への道はあの時に始まったのです。
重いドアを何度開けても、終わりの見えない純音楽への道。
あれから三年経って、ぼくは余計なことを一切考えないで歌えるようになれたかな?
歌をつくったり、歌ったり、ひとりで歌ったり、人前で歌ったり。
そこに不純粋さを含めずに歌えるようになりたい。

心の師匠は、いつまでも三人。
遠藤賢司
有馬和樹
曽我部恵一

畏敬の念で接してしまう。


K.K


【今日の新曲】

エンケンさんのカレーライス」

ぼくが謝りたい友達は
みんなもう隣にはいなくて
がっかりされたし
見切られもしたし
しょうがなかったりするけれど

あいつもあのコもあれもそれも
気づいた時には米粒で
ネクタイしめたり
子供ができたり
ぼくなんかよりも忙しくなったね

幸せになるために
夢中で走ったけど
幸せは追いかけるほどに
どんなもんだかわからなくて
思ってたものと違ってしまうのです

ツインリバーブにまたがって
白いグレッチで孤を描く
エンケンさんがご馳走してくれた
カレーライスのにんじん
赤くて甘いゴロッとしたにんじん

あいつと話したあの夜も
あいつと見ていたあの夢も
とっくに終わって
香りも忘れて
それでもぼくはまだ生きているんだね

幸せの正体を
見つけようと走ったけど
幸せの顔面は思ったほど
全然かわいくなんかなくて
美人というよりはクセのある顔をしてた

前髪をビシッとおっ立てて
白い風吹かすそのハープ
エンケンさんがご馳走してくれた
カレーライス 忘れられない

ツインリバーブにまたがって
白いグレッチで孤を描く
エンケンさんがご馳走してくれた
カレーライスのにんじん
赤くて甘いゴロッとしたにんじん

ふにゃんとないた
猫っぽいエンケン