kuyashikute naketekuru

12/5深夜

下北沢THREE三周年記念24時間イベント「24-3」に出演。
去年は出演できなかったので、二年ぶり。
オープニング企画として「食わず嫌い王決定戦」に出場しました。
お相手は撃鉄天野ジョージ。

結果はまさかの引き分け。
嫌いなものはぼくがイカスミパスタで、天野が激辛ラーメンでした。
震えるほどまずかったです。

THREEの恒例となっている、この24時間イベントは本当にアホな企画ばかりが揃っていて
ライブハウスなのに、演奏の時間とか2時間切ってるんじゃないだろうか。

このイベントとTHREEの意志は、純然たる音楽からは遠いかもしれないが、下北沢にカルチャーの旗を立てることに大成功してるんだよなあ。

おもろいことを本気でやってるハコが、
音楽だけをくだらない気持ちでやってるハコに負けるわけがないのです。

おもろかった!また来年。


撃鉄天野はダンボールハウスつくって、住んでました。



12/6

食わず嫌いも終わり、本業に戻る。

誰か、というよりも、ある特定の人に向けて歌い、残した。
ぼくの歌にはもう何年も、「この一曲を最も聴いて欲しい相手」というものが住んでる。
そこだけを、その人だけをイメージして歌う。
一節一節。
一言一言。
丁寧に丁寧に丁寧に。

以前も書いたように、それは祈りに似ている。
誰かのことを思って、その誰かだけのために、自分の持ちうるすべての能力と才能を込めるのだ。


夜は新宿JAMへ。
先日、解散を発表した札幌のリンダリンダラバーソールの東京ラストライブ。

2011年の春が深まった頃に行った、THEラブ人間初の札幌ライブでボーカルのタイガとはじめて逢った。
顔も、声も、思想も、年齢までも似通ったぼくらには、各々の歌を聴かせ合っただけで、もうそれだけで大丈夫だった。

その日は打ち上げを終えたあと、ホテルへ帰ってもまだ話し足りなくて、タイガに連絡して朝まで餃子を食った記憶がある。
春の札幌の夜は肌寒くて、ツーンと鼻にくる風が吹いていた。

そんなあいつがバンドを解散するって聞いたもんで。
洗いざらい、こっちが納得するまで話し吐かせてやろうと思ったのだが、出逢った日と同じように歌を聴いて、もうそれだけで大丈夫だった。

あいつも孤独と、そのナルシズムに酔った馬鹿野郎だった。
甘い蜜に振り回される馬鹿野郎だった。
こっちが納得する暇もなく、あいつは振り向いて何処かに行ってしまう。
ものすごいスピードで、新しい面白さを探してる人。

相変わらず顔似ている。



12/8


THEラブ人間を結成する前に四年間やっていたルーデ・サックというバンドのギタリストの結婚式。
新婦もぼくの後輩。

空は高く、青い。
まさに門出に相応しい一日でした。
やっぱりあいつらを祝うんだから、こうじゃなくちゃ。

大学を出てからほとんど一度も会っていないメンバーとの再会に、なんの距離も感じないのはぼくらがバンドという共同体の中にいたからなんだと思う。

俺たち四人は自信を持って軽音楽サークルの枠を越えた活動をしていた、と言える。
身銭を切って、時間を割いて、ひとつのことだけをなりふり構わず追い掛けたのだ。

そして、大学四年の時には各々の環境や気持ちは変わっていた。
ぼくは卒業が決まっていて、音楽をやっていくことしか考えていなかった。
ベーシストは卒業できないことが決まっていた。
ギタリストは一年休学をしていたので、卒業するならば来年と決まっていたし、「音楽で飯を食う情熱」はなかった。

国分寺のスタジオを出て、いつも通りサイザリヤに行った。
いつも通り笑いながら「このまんまやってても、未来ないよね!俺はきちんと大学卒業して、就職して、安定のある暮らしの中で、結婚して暮らしたいよ。だから辞めるよ。」ってギタリストは言った。

「オッケー。そんじゃ、解散しようぜ。」
俺たちはそんな三人だったんです。

あの時の三人の選択。
ベーシストは就職して恋人と幸せそうに過ごしている。
俺は音楽を職業にした。
ギタリストはあの時、解散する理由と言い分を果たした。

強く願えば、希望は叶うのだ。
あの時の三人の選択はひとつも間違ってねえ。


2008年の夏。もうひとりのメンバーであるカメラマンに撮ってもらったアーティスト写真。


式後、新幹線で仙台へ。

降りると雪が降っていた。
しんしんと音もなく、誰かを祝福するように、ささやかに。

PANGAEAという小さなハコでの弾き語りライブは、笑顔で。
また来るやもしれぬ揺れに涙し、震えたと聞いたから、笑顔で歌いたかったのです。
ぼくはあなたの笑顔が見たいと、本当に久しぶりに思いました。

【セットリスト@仙台PANGAEA】
1.抱きしめて
2.退屈な女の子
3.りんごに火をつけて(light my apple)
4.砂男
5.あのコ世田谷気分2(ボブの色)
6.犬の人生
7.FUCK OUR DAYS
8.なつみちゃん
9.八月生まれのきみの結婚式
10.体は冷たく、心臓は燃えている

音楽はひとどころにとどまらない、愛の流れです。
心が震えたよ。
朝までありがとう。


12/9

始発の新幹線で東京へ帰る。
東北新幹線はおっとりとしていて、静かで好きだ。
眠気はどこかへ行ってしまい、窓の外の風景ばかり見ていた。
そういえばいつかの窓の外の風景とはもう違って見えるな。
あの時、この風景のようにぐんぐんと変わって、過ぎていけばいいのに、と思っていた。
あの時とはもう違うな。

家に着いて、30分ほど寝る。
ここ何週間かずっと緊張しっぱなしだったことも、無事果たせた。
あんまり難しく考えると、どこまでも考えてしまうから、出来るだけいつもの時に、いつものように。

でも、ぼくはこれからどこにいてもこいつがあれば、ウキウキできる気がするんだな。

お昼からは下北沢の小学校でTHEラブ人間によるワークショップを行いました。
ぼくらの「アンカーソング」という歌に小学生のみんなが新しい歌詞を考え、話し合い、作り、歌い、録音するという、長く難しい作業を頑張ってやってくれました。
とても素敵な歌だったし、楽しんでやってくれたみたいで本当によかった。

ぼくはぼくで、ひとりの作曲家として自信を持てました。
爆音からも、酒と煙草の饐えた匂いからも遠い場所にある、純然たる学舎で鳴るロックミュージックには今まで感じたことのない興奮や歓喜がありました。


12/10

一日、取材日。
「アンカーソング」についての取材を様々なメディアがやってくれています。
いつか皆さんの手元にも届くでしょう。


そんな「アンカーソング」は12/19に発売します。
PVと70分に及ぶ映像作品の予告編がYouTubeでついに公開されました。
http://www.youtube.com/watch?v=dQT8IgoQbJo

12/23に行われる「アンカーソング」レコ発イベント【下北沢にて’12】の最終発表出演者は「モーモールルギャバン」だということも発表しました。
タイムテーブルも13日に公開します!
全アーティスト素晴らしい。
http://www.shimokita-nite.net/

1/14(月・祝)の14:00(集合時間13:30)からはタワーレコード新宿店 7Fで「アンカーソング」発売記念ミニライブ+握手会もやります。
手を洗ってから行きますね。

などなど、誇らしいほど苦しく楽しい毎日です。
また逢いましょう。

K.K



【今日の新曲】

「SHINE A LIGHT(life with tattoo)」

だれかの呼吸で目を覚まし
いま、だれかを生きがいに生きている
だれかの生きがいになれたなら
だれかから目を背けてはだめだよ

そして俺は髭を剃って
やかんに火をかけて
丁寧に歯を磨く

永遠を語り合うなんてことはもうやめよう
きっとその方がいい
俺ときみが生まれた日のことを祝おう
その方がずっと似合ってる

そして俺は10時に家を出て
きみは14時に家を出て
純粋さに蓋を閉めて

魂が風に揺らめいて
やさしさを忘れても
薬指にタトゥー 銀色のタトゥー
おんぼろのふたりはぐらついて
時々忘れてしまう
それでも真冬の太陽のように
輝いてるタトゥー

そして俺は本を読んで
きみはゲームをしてる
同じタイミングでなぜか笑った

魂が風に揺らめいて
やさしさを忘れても
薬指にタトゥー 銀色のタトゥー
おんぼろのふたりはぐらついて
時々忘れてしまう
それでも真冬の太陽のように輝いている

魂が風に揺らめいて
やさしさを忘れても
同じ形のタトゥー 同じ色のタトゥー
おんぼろのふたりに「永遠」は
少し似合わないかも
それでも目をそむけられない ずっと見ていたい
何度触っても眺めても飽きることのないタトゥー