馬鹿みたい

2/6
スタジオ練習。
エミ、谷崎、ケンジと徳島ラーメン食う。
このラーメン屋が空いてるのは、なかなか稀で、すごく久しぶり。
今年がやっとはじまった気がする。

夜はベースメントバーへ。
ふらっと行ったら赤い公園、快速東京、ねごと、という友達しか出てないイベントがやってたので見る。

快速東京おもしろかった。
これから、どんな風に変わっていくんだろう。
今の彼等はいろんな言葉で形容できるから、もうなんの換えにもならない奴らになってほしい。
はやかった。とにかく。

ねごとは大人になっていた。


2/7
スタジオ練習。

が!!携帯を電車内で失くす。
正直、誰と連絡取れなくなっても困らない生き方してるつもりなのだが、仕事の電話だけは困る。
いろんなことを想像し過ぎて、パニック。

が、スタジオ後に渋谷駅へもう一度行くと届いていた。
このコンクリートジャングルトーキョーも捨てたもんではないね。

その後、おとぎ話企画を見に新代田FEVERへ。

この日の出演はTHE SUZAN/Ropes/おとぎ話。
有馬くんはこの日をずっと楽しみにしてたみたい。
ぼくはおとぎ話しか知らなかったけど、バンド名だけでわくわくしてた。
だからFEVERで思い思いに開演を待つ人たちの顔を、じーっと見つめてた。

恋人とわちゃわちゃしやべってたり
ひとりで髪の毛の枝毛を探してたり
Twitter開いてたり

そんで開演。

そこからはもう夢見たいなロックンロールショウ。
THE SUZANは人が踊るのにはギリギリ足らないビートを刻みはじめる。
鍵盤と、人懐っこい歪むベース、どかどかドラム。
キュートだった。

続いてのRopes。
これがもう困っちゃうくらい、夢中になっちゃった!!
説明不要!ライブに行きたまえ。

で、この日のおとぎ話は五人がいつも練習してる部屋に連れてかれたような演奏でした。
もうラフを通り越して、暮らしや生活みたいな演奏。

あー。これはやられた!!といった感じ。

有馬にいちゃんはほんとに小悪魔。
すぐに弟の僕を悪いとこに連れてって、悪い事を教えて、そそくさと逃げてっちゃう。
あとはぜーんぶお前の勝手にしろよ。って。
うん。ロックンロールだよね、これは。


で、会場にまさか昨日会ったばかりのねごとのボーカルさっちゃんが来てて、終演後もずーっと話してた。
そのまま一緒に帰ったんだけど、やっぱり強い目を持つ人だ。

心や歌はどうだろうか。
透けて見えるほど美しいうたを、昨夜も歌っていたけれど。

ちょっと気になる。
明け透けな言葉を彼女は一度も吐かなかった。


2/8
兄と母と祖母と車で、墓地へ。
母方の祖父母の墓をつくることが決まって、その場所を見に行ったのだ。

小さな噴水のある墓地で、道路脇にあるが緑も豊かで比較的しずかな場所だった。
寝苦しいことは無さそうだ。

墓のデザインを決める。
どの石にして、どの文字体で、どんな柄にするかなどなど。

おじいちゃんは海釣りをしていたし、おばあちゃんは花が好きだから、釣り人と桜ってのはいかがかと提案。
絵にしてみるとなかなかかわいかった。

帰り道、スーパーで買い物をして祖父母の家に。
じいちゃんが老人ホームから帰ってきて、一緒にベランダで少し話す。
夕焼けチャイムが鳴っていた。

じいちゃんは「寒いなあ。」としか言わなかったから、ぼくも「寒いね。」と言った。

この人が入る墓を見て来たのだ。
気に入ってくれたらいい。
それだけで、いい。

兄の恋人も合流して、夕食。
おじいちゃんは照れていた。
おばあちゃんはいつもよりイライラしてなくて、機嫌もよかった。

兄が昔の写真を引っ張り出してきて、みんなで見た。
思えばいろんなところへ行ったな。
いろんなところへ連れて行ってもらったな。

ぼくの知らないところでおじいちゃんとおばあちゃんもいろんなところへ行っていた。
それを一緒に見ていないことをなんだか悔やみそうになったから、今年はおじいちゃんとおばあちゃんといろんなところへ行って、写真をいっぱい撮ろうと思った。

写真も見終わって、飯もあらかたなくなってきた頃におじいちゃんが久しぶりにぼくの名前を呼んで、写真を撮ろうと言った。

みんな一瞬の沈黙の後に、撮ろう!撮ろう!と言って、群がって写真を撮った。

写真を撮ることがうれしかったんじゃなくて、おじいちゃんが言ってくれたことがうれしかったのだ。

外はもう夜。
おじいちゃんは寝て、ぼくらは家に帰る。

墓は再来週にはできるだろう。


2/9
CAVE BEで急遽弾き語り。
お笑い芸人の方々と共演。
こうやって垣根を崩していく作業をライブハウス側から発信してくれるのが、すごくうれしい。
ぼくらのイベントでもこんなことが出来たらいいな。

終電ギリギリまで、この日共演だった松尾さんと柴田くんとコンビニ前で飲む。
ぼくはコーヒー。


2/10
牛込神楽坂に向かう。
ぐるぐる回るという去年我々が出演したイベントの主催者竹内さんの告別式。

久しぶりに袖を通した黒いスーツはやっぱり肩を重くする。
風はどんよりと死の匂いをたっぷり吸い込んでいる。
ぼくだけがそれを知っていて、他の人は誰も知らない。

夏目漱石のこころを読みながら向かうが、一向に文章が頭に入ってこない。
少し混乱している。

彼の顔を最後に見ることが出来た。
花を右脇のそばに置く。
良い顔していた。

一度、二度しか会ったことも話したこともないし。
彼のことをぼくは何も知らないに等しいけれど、ぼくは彼と出会ったんだよな。

ぼくの人生と、彼の人生が音楽で結びついていたんだよな。
肩と肩が触れ合う以上に、人生は濃密だ。

葬儀場を出て、歩いた。
牛込神楽坂の街は降りたこともないけれど、なにかを振り払うようにとにかく歩いた。

東京の街は、あいかわらず他人行儀な風が吹いているし、それは嘘でも間違いでもなかった。
そこにそうあるべき姿で存在していた。

ぼくはその距離がとても好きだ。

告別。
別れを告げる。
出逢ってしまったからには、いつか別れなければならない。
自分の抱きしめられる距離、触れられる距離にいる誰かとの別れ。

東京の街を歩いた。
あてどなく。
答えもなく。

一生懸命に生きよう。
その答えが死ぬということならば、それまでは一歩も無駄にしたくはない。

夜は大森靖子三角みづ紀三輪二郎のスリーマンを観に下北沢へ。

最近、大森靖子の生の声を忘れかけていたので、自分にとって本物かどうかを確認しに行った。

やっぱり自分にとって彼女は尊敬と嫉妬心がない混ぜになる存在だった。
彼女のうたを聴いていると自分が音楽家であることを忘れそうになるのだもの。
本物だ、やっぱり。

三角さんは美しい詩が印象的だった。
ギリギリまでやせこけた演奏と、乾いた歌が骨の間に入り込んでくる。
CDで聴く勇気がまだない。
またライブで聴きたい。
どんなこと考えてるんだろうか。

三輪二郎はぼくの言葉の終着点。
彼の歌う歌も、描く詩と世界も彼そのもの。
ぼくの知ってるステージの下の三輪さんが、ステージの上で歌ってた。

あんな風に歌えたら気持ちいいだろうな。

その後はベースメントにライブ観にきてたBAND Aのオカと茶しばく。


2/11

渋谷ファミリアへ天野ジョージに会いに行く。


2/12

新宿風林会館で行われている【ぼくらの戦艦】へ。

ものすごいDIYなイベント。
ライブハウスの空気をそのまま、密封して持ってきた様な雰囲気があって素晴らしかった。

とくにタコボンズ、Ropes、おとぎ話、ZAZEN BOYSは圧巻。

昨日に引き続き、嫉妬心とそれをはるかに超える反抗心で胸がいっぱいになった。
負けたくねえ。って思えた。

来年またやるとしたら絶対に出たい。

だいすきなサコくん、みっちゃん、チーママしままわりちゃんのキッチン小判鮫の料理すべてうまかった!!
おつかれさま!!!

その後、ツネと久々に二人で飯食いに行く。

どかんとやらなきゃな。
胸張って、自分のやりたいことだけ、どかんと!!

他人がどう自分を捉えてるかとか、どんな風に思っているかとかってのにはマジ興味ない。
中指立ててぶっ飛ばすんだ。
そう自分に思った夜。


2/13
スタジオ練習。
なんと、バレンタイン前日のこの日。
ベースおかもとがメンバー全員にお弁当を作ってくれました。

うむ。良い嫁になりますね。
きんぴらごぼううまかった。

その後、BAND Aオカと茄子おやじでカレーを食う。

ちなみに、このオカという女、死ぬほどかっこいいギターを弾く。
最近スタジオで自らバリバリとギターを弾くようになってきたのだが、完全にこいつの影響。

オカくらい弾けるようになりたい!!

その後、ベースメントバーで夢見てるというバンドのライブを見る。

帰り際にずっと考えていたことは、【責任感】について。
歌を歌う責任感。
曲を作る責任感。

学生の頃や社会人の頃に感じていた、誰かから渡された責任感なんかじゃなくて。
自分自身が選んで、背負った責任感。

その責任感を持てているか?ということ。

全然、足らない。
もう昔みたいに誰かに渡されたりしないから、自分で背負わなければ。
誰にも分け与えたりできないし、したくもないんだから。


2/14
弾き語りライブ@渋谷HOME。

リハ後、小南泰葉と楽屋でくっちゃべっていたのだが、ほんとーに変な女だった。

とても無邪気で、まるで小学生と話してるような感覚。
別にお子ちゃまだとか言ってるわけじゃなくて、とても天真爛漫な人で、話してて色々思うことがあったな。

ぼくはいつもよりゆっくりと、出来るだけ言葉を選ばず、歌を歌うことだけに集中した。
歌を聴かせることだけに集中した。

そうすると、自分の心の声と目の前の人々の声が会話をしはじめる。

最近どうだい?
こっちはぼちぼちだよ。
ひとりぼっちでいるかい?
こっちもひとりぼっちだよ。


【2012/2/14@HOMEセットリスト】
1僕の恋はさっき終わったんだ
2どこかの駅で乗り換えて
3KYOTOKYO
4西調布
5幸せ
6ぼくがいる
7僕の愛した女たち
8ひとりにもどろう
9Sについて
10FUCK OUR DAYS
11young apple


バレンタインということもあって、たくさんチョコレートやプレゼントをいただきました。
どうもありがとう。
小学校の頃の自分に教えてあげたいです。
お前、いまはもらえなくても、大人になったらもらえるぞ、って。

んで、その中のひとつに手紙が入っていたんだけど、その文章がとても素敵だった。

ここでは、誰にも教えてあげない。
歌にする、ね。

ぼくも素敵な言葉を体のなかに溜め込みたい、もっともっと。
素敵な風景と、素敵な人と、そこで起こる摩擦。
もっともっと素敵な言葉を体いっぱいに。


2/15
兄とドライブ。
入間のアウトレットに行く。

家族連れがたくさんいて、こどもたちがいたるところで走っていた。
その様子は、やっぱりいつかの夢のひとつだ。

春物の上着BEAMSで買う。


2/16
昼スタジオ練習。

その後、CAVE BEでTHEラブ人間ライブ。
この日は急遽、シークレットライブとして突っ込んでもらったのです。

新曲を二曲初めて演奏した。
これから先、胸を張って歌える歌に成長していくことを願う。

偶然、居合わせたみなさんどうもありがとう。

その後、440で早川義夫さんを何曲か聴かせていただいて、背筋が伸びきったところで、ビラ配り。

んで、ケンジと谷崎とつけ麺食って帰る。


2/17
昼スタジオ練習。

その後、ツネとエミと回転寿司行く。
ダメだ。寿司ランチはまりそう。

その後、渋谷ネストにてTHIS IS PANIC日本シリーズ延長戦に行く。

SEBASTIAN Xは生命力に溢れていた。
明日をもっと良い日にしたいなあ。って思えるような。
そんなライブだった。

そして、THIS IS PANICは変化球中の変化球。
いつも通りのバンドスタイルから始まり、マイクのみの4MCスタイル、そしてバンドスタイルに戻るという今までにないライブ形態。

完全にエンターテイメントとして確立された、そのライブに感じたのは、とてもポジティブな風だった。

セバヌと同じ感覚。
そのスタイルや表現方法は違えど、イベント一貫として連なるその感覚にまいってしまった。

ディスパニベースの松坂が、胸に秘めた感謝や輝きが何度も何度もぼくの髪や肌に反射して、また大きく輝いていた。

本当に最近、自分で自分が怖くなるくらい優しい気持ちになれる。
こんな自分は正直、知らなかった。
自分がとても素敵な人間になれるような。
自分のこと少しでも好きになれるような。
なって、いける、ような。

だから朝まで三次会までいたのはしょうがないこと、なのだ。

帰り道、西武池袋戦でセバヌ飯田と見た富士山。
彼との話が忘れられない。


2/18
朝からぐだっと昼過ぎまで眠る。
ぐったりとした体を起こし、撃鉄のライブを観に新宿LOFTへ。

素晴らしいライブだった。
新曲もたくさんあって、挑戦的で、ワイルドだった。

同世代のバンド達が徐々にオーディエンスを集め、その中で特有の臭いを放ち始めている。

昨夜のnestの、太陽の輝き。
そしてこの日LOFTの、汗の饐えた香り。

楽屋に挨拶行って、salsaスズケン氏と三軒茶屋ヘブンズドアへ。
ベルノバジャムズ企画。

中に入るとロウの効いたDJ音。
酒でベタベタの床。
空き缶、空き瓶だらけの机の上。
むせ返る煙草の匂い。

久しぶりの危うい感覚。
出番を終えたバンド達は、酒と女を囲んでへべれけ。
客同士、肩をぶつけては舌打ちしたり、逆に肩を組み合って笑ったり。

そうだ、そうだ。
このライブハウスの危うい感覚。
これが、俺はなによりも好きなんだ。

そんな中での壊れかけのテープレコーダーズ。

そのファズ音は以前と比べ、明るみを増していた。
どれほど歪んでいたとしても、その音は未来に向かって突き抜けていった。

そして、続いては昨夜に引き続いてTHIS IS PANIC。
昨夜はじめて見た4MCスタイルのみのライブ。
完全なるパーティースタイル。

昨夜、感じていた緻密さをまた提示してくると思ったが、昨夜の何倍も肉体的だった。

そりゃそうだ、ディスパニが完成するわけないのだ。
彼らの一番の魅力はやっぱり、なにかをひっくり返すことだ。
それも脳みそなんかじゃなく、腕力で。

久しぶりにそんなディスパニを見た気がする。
以前と違ったのは、心が輝いていたことだ。


ここ最近、様々なことに光を感じている。光を見いだしている。
閉塞感や鬱屈した気持ちはもちろんある。
でも未来はほどけるのを、俺が自らほどくのを待っていてくれる。


ベルノバジャムズ。
やすえはあんなもんじゃない。
もっとすごいライブを、メッセージを伝えてくれる人だ。

また馬鹿みたいに、笑って逢いにいこう。

K.K