脱皮

溜まりに溜まった一日たちを、思い出していく。
なんでもないような一日の中に起こっていたであろう、事件を。
それは思い出すことで羽を生やすこともあれば、足を断ち切るようなこともある。
そして結局、行き着いたその場所が一面草ひとつ生えない荒れ果てた荒野でもある。

でも、大丈夫。
ぜんぶクソみたいなものなのだ。

FUCK FUCK。


1/10
朝、京都を出て東京に帰る。
帰りの新幹線は連休明けもあってか、始発なのに人だらけ。
東京駅からの山手線が人身事故で止まっていて、ぼおっと外を見ていた。

朝もやというには明確で、昼の光というにはおぼろげだ。
この街には何種類の夢が転がっているのだろう。

夜、親友の馬場に連絡すると近くで飲んでるからおいでということで行く。
誰も行かないファミリーレストランの裏の見たこともないアパート、その一室。

部屋に入ると馬場と、その友達「西尾」という男が酒を飲んでいた。
大学生が上京して精一杯のお洒落をしようと思ったが、3年経ち諦めのついたような装飾でいっぱいの部屋だった。
彼は高知からバンドで飯を食う夢を抱え、何年か前に出てきて、今ではバンドは硬直状態だと言う。

よく笑う男で、冗談がとても上手だった。

振り返ると、3年前。
2008年の12月にこの街を出て、その間2つの街に住んでいた。
どの街もすぐに馴染んで、どの街にも友達がいくらかできた。

22年間住んだぼくの地元。
黄色い電車で都心から30分のこの街で、声を枯らして話せる人間なんてのは小学校の学友くらいのもの。
彼、西尾と4時間近く話して「このくだらない街でこんなことがあるんだな。」と感慨深くなったものだ。

深夜、馬場と帰る。
また行こう。約束は出来ないけど。


1/11
三軒茶屋で今年初のバンド練。
「ふっ」とした瞬間に、出口が見つからずに留まっていたしこりが解け、溢れることがあるが。
まさにこの日はそんな日だった。

終わったあと、メンバーでよくわからん居酒屋で打ち合わせ。
新年会も兼ねていたが、まったくそんなムードにならなかった。
さっきまで笑い合っていたと思えば、急に怒り、罵声を吐き合い、拳を握り、最後には肩を組んで笑えるような。
やっぱり今年も不思議な五人でいれそうなのでした。


1/12
下北沢Cave beにて弾き語り。
イベントタイトルは【2013】。ぼくが名付けたのです。

この日の出演者はぼくと、Cave Beオガさんが合同で決めました。
「2013年は勿論、何年も何年も歌い続けられるであろう真っ当な音楽家」だけが出演してくれたのです。

来てくれた皆さんに感謝。

この日、後方から見たコモリキヨタカのソロライブは贅肉を削ぎ脅して、筋肉と骨のみが残った音楽だった。
マッチョな弾き語りをする男だ。
もはや、弾き語りではないかもしれない。


1/13
引越し。
本100冊入ったトランクと、旅行カバン三つを抱えて、電車で。
何kgあるんだろうーって重さだったのだけれど、なんとか到着。
この時点でまだ1/10くらいしか運べてない。
服はほぼ捨ててしまったのだけれど、本とCDとレコードに関しては一切捨てれない。
光が見えない引越しの始まり。


1/14
渋谷WOMBにてソロライブ。
いつも世話になってるNew Actionと、久しぶりに会うAFRICA EMOの共同パーティー
どうもパーティーらしからぬ歌しかつくらないのに、パーティーに呼ばれるなにかをぼくは持っているようで(それがなにかはわからんが)この日も気合のフォークセット。

サウンドトラブルがあったりしたけど、J-WAVEの藤田さんやMARZでいつも世話になってるPAさんのサポートでやりきれた。
結局、こうやって自分が生かされて歌ってる限りは誰にもなんにも言えないな。

この日、新曲「FUCK OUR DAYS」を歌う。
このブログのタイトルにもなってることば。
とても大切な曲になりそうです。

打ち上げでは星原、大阪のはいからさん、カンダタ石橋、元カンダタのジョンたちとまるで大学生みたいなノリで話してた。
コーラがうまい。


1/15
この日も手動引越し。
腰に違和感。
咳と鼻水が、止まらない。
知らず知らず風邪をひいたみたい。


1/16
体にガタが来て、限界に達した。
事務所の社長に車で来てもらって、引越し作業。
ほぼ大半を詰め込んだ。
すごく助かった。

助手席に座り、ぼおっとした頭で過ぎていく街を見つめる。
ベンツの革シートはひんやりしていて、熱を吸い込んでくれる。
静かに、揺れることもなく、街道を車は走る。

夜は防寒、マスクでUFO CLUBへ。
前野健太withおとぎ話、と、あらかじめ決められた恋人たちへのツーマンライブ。

言葉VS音
とか思ったのだが、そんな括りは意味を成さなかった。

ステージの上では、ステージの下で起こった事象がただ延々と鳴り響くばかり。

UFO CLUBを出ると、なんだか鼻通りが良くて、熱も下がっていた。
音楽はすごいな。
行ってよかった。


1/17
この日はマネージャーに車を出してもらって引越し。
これで、すべての荷物を運び終えた。

がらん、とした部屋。
さっきまでそこに居たぼくの影は、壁にシミひとつ残さずいなくなった。

丁度一年、住んだ。
この街を好きになりすぎる前に出れる。
それは唯一の救いだった。

ぼくは使命感みたいなものを、音楽以外で、うたを歌う行為以外で持ったためしがない。

持つなんて、思わなかった。

またひとつ「記憶の中の街」が増えた。


1/18
ベッドを組み立て、本棚、タンス、机などを移動し、部屋をつくる。
また新しい生活のはじまり。


1/19
スタジオに昼から入り、その後渋谷WWWへ。

THEラブ人間/BIG MAMAのツーマンライブでした。
ラジオ局とテレビ局ががっつり手を組んで行われたこのイベントは、その場所にいなかったあなたにも届いたろうか?

正直な話、ここに来ないならば、なにも言えない、と思って欲しい。
ぼくらも、同じだ。
そこにいけないなら、そこについてのあれそれなんて言えない。

でも、もしあなたが、うだうだと言うようなら、情報には左右されないで、自分の耳と目で判断しに来て欲しい。

権利は、そこから手に入る。

ライブ後、PAチームと打ち上げ。
終電を逃し、下北沢へ。
一晩明かす。

まだ前の街の終電を覚えてるんだ。な。


1/20
渋谷でスタジオ。

Sorrys!またいちが突発性の難聴になってしまった。
明日は明日でソンソン弁当箱のカジカが静養のため、ライブを休止する。

はやく、よくなってほしい。
歌いたい、と思って、わざわざステージに立っている人間が、歌えないのは、辛いなんて言葉じゃ言い表せないんだ。


1/21
新宿MARZにてTHEラブ人間
ライブ。

誰のためのライブか。
カジカのためのライブか。
オーディエンスのためのライブか。

違う。俺のためのライブだ。
いつだって、ひとりで、うたってきた。
ここでいう、ひとりを勘違いされては、困る。

でも、君もカジカもおとぎ話も雨先案内人もひとり、だ。

待っている人がいる。
なだめてくれる人がいる。
受け止めてくれる人がいる。
愛してくれる人がいる。
愛せる人がいる。

それを、知っているから、それを抱きしめることができるから、そのありがたみを知れば、知るほど、俺たちは「きちんとひとり」になれる。

ライブ後、居てもたってもいられずスタジオにひとりで入り、個人練。

おとぎ話有馬くんからメールが届く。
俺はもっともっとTHEラブ人間をヤバイバンドにしていかなきゃ、ならない。
ひとり×5人で。

あのメールを読み返せば、俺はきっとどんなことがあっても、いつまでも歌える。

スタジオに3時まで入り、深夜MOROHAのライブを見る。

俺の待っていたMCの姿が、そこにいた。
もう腐らねえ。


1/22
ファミリア新年会にゲストで出演。
トークだけ、で出るのははじめて。
鍋うまかった。


1/23
radio DTM社長と夕方の新宿LOFTで談笑。
その後、スタジオ。
少しずつ新曲に光を射し込んでいく。
闇を切り裂くうたが出来上がりつつある。

雪が降る。


1/24
起きると、雪は氷になっている。
東京に降る雪は、邪魔ものになっていくんだ。

母と池袋に買い物へ。
新しいジーンズを買った。
こいつを一生穿いて生きる。


1/25
新宿URGAへ。
うみのて、壊れかけのテープレコーダーズ、楽しいよふかし、を見る。


1/26
スタジオに入る。
新曲が二本足で立った。
ついこの間まで、首も座っていなかったのだけれど。
いつだってアレンジは煌めきと、ひらめきでしかない。

ケンジとラーメン食って、ミスド行って、よーく話す。

その後、帰り道QUEでビラ配りに行ったら、偶然蜜がライブをやっていたので見る。

色んな人と話をした。
打ち上げでは蜜チームとたっぷり話をした。

俺は未だに偽物の爪先立ちで背伸びをし続ける自分と、戦っている。
その間は誰にも勝てやしない。

俺は男の子だから、勝てないのなんて嫌だ。
勝ち負けの世界じゃないなんて、一度たりとも思えやしない。

だって俺たちは生まれて、生きているから。
命っていう物凄くデケエ爆弾を背負ってるんだ。
その限りは負けられない。

心も体も折れてたまるものか。


1/27
池袋ミュージックオルグにてソロライブ。
盟友タカユキカトーのレコ発で、しかもツーマンライブ。

アコギ一本で、つらつらと歌った。

三年だ。
彼と知り合って、もう三年も経ってしまった。

この日は、その記憶をひとつひとつ丁寧に、本棚の奥から取り出す作業が必要だった。
取り出したあとも、ホコリが溜まっているのではたいて、綺麗にしなければならない。
あるページはカビが生えていて、あるページは共同執筆であり、あるページはすでに破かれて存在しなかった。

ぼくは、その中のお気に入りのページを何枚かポケットに入れて40分近く歌った。

【2012/1/27池袋ミュージックオルグ
1こいのおわり
2月曜日のナナ
3カレーライス
4あのコ世田谷気分
5あなたに話した夢のいくつか
6KYO TO KYO
7バンドをやめた友達
8FUCK OUR DAYS

すると見えてくる景色は、ぼんやりとしていない。
凡そ1000日分の記憶がまるで目の前で起こってるように、繰り広げられる。

この瞬間を、何度も何度も味わいたくてぼくは曲を今日も書き続けてる。


1/28
この日はとてもクレイジーなので、箇条書きで。

スタジオ
下北でビラ配り
昔よく話したバンドのリハーサルに偶然遭遇
下北沢にて’11のボランティアスタッフ打ち上げ
みんなエモイ
二次会全員参加
カラオケカオス
谷崎カオス
ツネモノマネ全然似てない
レパートリーは山崎まさよしと桑田圭佑
絵美AKB
ケンジ大体エアドラム
スタッフ騒然(DON BIKI)
お疲れ様でしたー!!
終電で下北へ
良い報せ
いてもたってもいられずケンジとハイタッチ
ケンジの肘顔面直撃
48時間経過の現在、まだ痛む
そのテンションでBASEMENTで行われてるsalsa打ち上げへ
3時ごろ日高屋
5時始発出る
ぱらぱらと帰っていく
何故か帰らない俺とHOMMEみっちゃんとうすしおこっけとsalsaスズケン
我慢比べ開始
日高屋滞在5時間経過
朝8時カラオケBearsに入室
こっけおっさん
みっちゃんええ声
スズケン九割寝る
朝10時プリクラを撮る
帰ればいいもののマックへ
オールヤングス結成
FUCK OFF
you are pig.
but,I'm pig.
we are pigs!!!!
アメリカツアーイメージしてついに昼11時半帰宅
こっけ八王子スタジオへ
スズケン今日中にiPhoneにするわと宣言し帰宅
みっちゃん金おろしてスロットへ(ぱねえっす)
井の頭線
Twitter開く
タカユキカトータワレコインストア12時から
もう何時間寝てないかわかんない
二秒で眠れる








タワレコ向かう






酒臭すぎてタワレコたまちゃんに嫌な顔される
へこむ
でも泣かない
男の子だから
ミツメライブ開始
ドカドカドラムようじろう!!
サニーデイサービスってこんなバンドだったのかも!って思う
眠気最高潮
タカユキカトーライブ開始
眠気吹っ飛ぶ!!
良い音楽だ!!!
やっちまえたかゆき
ライブ終了
昼の1時半過ぎタワレコを後に
あんまりその後覚えてない
起きたら真夜中だった
とにかく曲書く
曲書く
曲書く
曲書く
曲書く
疲れて眠る


1/30
池袋のリブロへ。
新宿から高速バス。
もうすぐ目的地へ。

はやくつかないかなあ。


こうやって毎日毎日、生まれ変わっていく。
昨日のぼくを捨てて。

K.K