mother

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高円寺CLUB LINERへ。
僕のレテパシーズのライブが圧巻だった。
前奏がはじまり、何個かの音が重なり、最後古宮大志のうたがマイクからスピーカーに流れた瞬間にぼくたちはどこか遠くの場所へ、瞬間的に引越しすることになる。
2008年に彼のうたをはじめて聴いたときから変わらない。
岩見沢市ってどんなとこだろう。

PAが酷すぎて他のバンドは、なかなか辛そうだった。
テツコはもっといい音で聴きたいなあ。
サーティーンが無茶苦茶、爆音だった。
神宮さんエフェクター踏む瞬間めちゃくちゃ気持ちいいだろうなあ。

環状七号線を歩いて帰る。
冬の道を凍えそうな鉄の塊が走ってる。
いつも、思ってるけどやっぱり異様。
あんな機械が凄い速さで走ってるなんて、異様。


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父から良い報せ。

秋葉原GOODMANへ。
昨夜の悪列な音が余りにも、心をモヤモヤさせすぎたのでテツコを見に行く。

んで、振り返ってみると結局、音の良し悪しなんて関係なかった。
テツコはこの日すごく良い音で、
良いライブやってた。
きっと高円寺でもこの熱狂をステージから放出してたら、いくら音が悪かろうとすごく感動したと思う。

む。俺が言いたいのは2年近く見てきたテツコのライブの中で、この日がいままでのベストアクトだったってこと。

マリリンモンローズは新年初めにぴったりの攻めのセットリスト。
やっぱりバンドはこうじゃなくっちゃ!!
全員がぷるぷるしてて、かわいかった。

んでトランポリンってバンドを見たんだけど、これに関してはなんとも言えない。
見に行ってほしいなあ。
そんで感想言い合おうよ。
あなたが見て、どんなこと思うのかが気になる。

この日のGOODMANは、うたには責任感が必要!って事をまじまじと見せつけられた一日でした。

じぶんのうたう歌はじぶんにしか歌えないはずなのに。
歌を粗末に扱うやつは嫌いだ。
自分を粗末に扱うやつは嫌いだ。


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京都へ。

新幹線に乗ったら、ぼくの席にこどもが。
隣には母親ともうひとりこどもが。
二人がけの席に三人で座っていた。
ぼくが間違えたのかなあと思ったけど、やっぱり間違いない。
話を聞いてみると、切符売り場の姉ちゃんがこの席はたぶん人が来ないと思うので、大丈夫!とか勝手なこと言ったみたいで、
彼女は座席をひとつしか取ってないようだった。

とりあえず後ろの席に座り、途中で座席を駅員に変更してもらった。

列車はものすごいスピードで窓の外の風景を変え続けている。

その母親は若く、美しかった。
年齢もぼくとひとつ、ふたつくらいしか変わらないんじゃないだろうか。

こどもをふたり抱えた、同世代。

それはまるで遠いおとぎ話の国の世界みたいで、ぼくのあたまをぼおっとさせた。

この母親は自分よりも好きな人がいるんだ。
しかも、(最低でも)ふたりも。

ぼくはやさしい人になりたい。
ずうっとだれかを寄り添えて。
いつか、だれかと生きていきたい。

26歳に今年、なる。
ぼくは友人関係が希薄だから、
あまり知らないけど、きっと俺と同じ教室に通っていたあいつらの中にも。
同じ教科書を開いたあいつらの中にも。
同じ通学路を通ったあいつらの中にも。
既に親になったやつらがいるんだろう。

好きなものがたくさん、ある。
安いチョコレート。
ライブハウスで飲むカルピスソーダ
夏に吹く風。
お天気雨。
名古屋のちいさな街。
その駐車場から見える高速道路。
新幹線のアナウンス。
ふとん用のホットカーペット
とても苦いコーヒー。
多摩湖から見える富士山。
小金井公園の桜。
連続ドラマ。
ボーダーのTシャツ。
おじいちゃんのセーター。
ベランダ。
合鍵。
環七。
行きつけの店。
記憶の中のたくさんの、街。

そんな、好きなものよりも、自分よりも、何よりも、ぼくはだれかを愛せるのかな。

愛された記憶がぼくにはたくさんある。
だれかに必要とされたことがぼくにはたくさんある。
これからの人生どうなったっていいくらいの、記憶や思い出がぼくにはある。

それはぼくの骨や血や肉をつくってきたものだ。

ぼくにとってそれは、誇りだ。
だから、続けていかなきゃならない。
命を繋いでいかなきゃならない。

今夜は京都メトロでひとりで、うたう。
どんな、うたがうたえるかな。

たのしみだね。

K.K