立候補

スタジオのあと、久々にポレポレ中野へ。
映画「立候補」を観に行く。
マック赤坂を中心に泡沫候補と言われる選挙候補者の(よく言えば)戦いを描いた映画。
笑いまくった。最後には死ぬほど泣いて、その何倍も震えた。

選挙の季節になり、ポスターを見るたびに「こいつまた出てるよ。」とか「この人ウケ狙いだけで、当選する気あるのかねえ?」ってみんなが一度は思う、あの人たちのことを泡沫候補と言います。
泡沫候補の一番の敵は、やはり大きな力を持った党から出馬する陣営たち。
「ここまで力の差があるとは!」と驚愕するシーンばかり。
マイノリティとマジョリティ。

政治に興味がない人、または知識ないよって人(俺もその一人です。)、泡沫候補を馬鹿にしている人にこそ観た方がいい。
風立ちぬ越えの、今年一番でした。

絶対に勝てないのになぜ戦うのか?
俺はそこにやっぱりそこに、胸が熱くなる。

金、権力、暴力。
この三つを兼ね揃えた相手に、その三つの中のひとつすらも持てない者が立ち向かうのだ。
やっぱりそれは今の音楽業界も同じ。
音楽雑誌に広告を載せるのにも、CDショップの店頭に陳列されるのも、ロックフェスに出演するにも(暴力はないにしても)上記の残りふたつが必要になるようなそんな業界の中で、それを持たぬ俺たちは戦いつづけなければならない。

今でも覚えてる2010年の暮れ。
俺たちの「大人と子供-17才と22才-」というepは新宿タワーレコードの店頭にどかんと陳列された。
事務所もレーベルも無い俺たち(つまり上記の3つの力を持たない俺たち)が音楽の力だけでそいつを手に入れた瞬間だった。
あの時、この映画を観た時のような震えが体中を巡ったのを覚えている。

勝敗はわからない。
それはあまりにも大きすぎる。
オリコンチャートの一位にならない限りは、負けなのかもしれないが。
いや、なったとしても永遠に一位で居続けなければそれは敗北なのかもしれないが。

勝ってはいない、けれど勝負した上でやっと同じ舞台には立てた。
泡沫候補の俺たちが、でかい力を持った党の候補者と肩を並べるところまで来た。って。
そんなことをあのタワーレコードで俺は思って、立ってられないほど震えた。

絶対に勝てない勝負に挑まなければならない。
挑み続けなければならない。
なんとか日付変わって今日で27才になりました。
お楽しみはやっぱりこれからだ。

K.K


【今日の新曲】

「タイトル無し(仮)」

星ひとつも見えない街に住みはじめて
一体もう何年経ってしまったの
擦り切れた安物のジーンズ 引っ掛けた夢
いつまでも17歳じゃいられないの

ベッドタウンに埋め込まれた夢のくず
何百と並ぶ食卓 ううう うう

かわいそうだなんて思ったりしないで
かわいそうなやつだなんて扱わないで

ふと鳴り出した着信音
電話に出るその声が
なんか大人っぽくて驚いた

つぎ会うことがあったら、ぼくら他人さ
何百と並ぶ約束 ううう うう

かわいそうだなんて思ったりしないで
かわいそうなやつだなんて扱わないで