これが僕らの行進曲

昨日、スタジオ帰りに久しぶりにレコ屋を巡っていたら
THEラブ人間がSEで使用してる楽曲が収録されたレコードを遂に発見した。
アナログ盤の完全オリジナル。

「ん?どうやってこの曲を手に入れたんだっけ?」
とすでに忘却の彼方へ飛ばされ、忘れ去られていた記憶をひとつひとつ手繰り寄せ思い出そうとしたわけなのだが、そういえば元々この曲は曽我部恵一氏からいただいたミックステープに入っていたのだ。
ぼくが22歳の頃の話だ。

そのミックステープには洋邦問わず14曲くらいの名曲が揃っていて、野良犬のように未知の音楽を漁りまくっていた当時のぼくは擦り切れるまでそのCDを聴いた。
そのCDの中にこの曲が入っていた。

ほとんどのバンドがそうであるようにTHEラブ人間も2009年の結成当時、SEを定めずライブをしていた。
その日の気分だったり、セットリスト次第で変化していった。
要するにそこまで重要ではなかったのだ。



■覚えている限りの使用した楽曲■

「私たちの望むものは/岡林信康
「大阪へやってきた/友部正人
「ボーンズ/ゆらゆら帝国
「Real love/The Beatles
「サイの角のようにただ独り歩め/THA BLUE HERB
「SUMMER MADNESS/ECD

などなど。
もろに趣味まるだしである。
たしかReal loveは一番多く使用した気がする。
んで、これは固定だなって思った記憶がある。
LOVEってタイトルにつくし。

でも、曽我部さんにいただいたミックステープの中に妙に気になる曲があった。
それがぼくたちのライブではおなじみとなった、あの楽曲だ。

歌われる内容はなんの気をてらったものでもない。
一人暮らしの自分の下宿に友達が何人が集まって、酒を飲んだり話したり。
いつも元気なあいつが、今日は恋人と逢えなくて元気がなかったり。
そして、夜が来たらまたひとりひとりそれぞれの日常へ帰っていくことに寂しさを覚えたり。
そんな毎日は大人になった時にどんな風に写るんだろう?なんて思ったり。

大げさなインターリュードからはじまり、急速に立ち変わる小さな控えめのアルペジオに乗せて、そんな物語が歌われていく。

空のグラス。
窓の外の星。
小さなボリュームで聴く音楽。


この歌はぼくらの歌だな、って思った。
ぼくの歌いたいことのほとんどすべてをこの歌はうたっていた。
大人になるってこと。
失っていくってこと。
傷つくこと。
傷つけること。
青あざのように心に残った、ちょっとしたわだかまり
青春の蹉跌。






2009年。
当時、ぼくらは夢しか持っていなかった。
どこまでもいけると信じていた。
【出来ないこと】なんてひとつもないとも思っていた。


「おう。今でも思ってるぜ。」
「まさかとか言うかい?」
「俺たちは無敵だ。」

下北沢の一角でしか演奏をしたことのない、5人組の長い長い冬を明けさせる行進曲。


追記:
この楽曲のタイトル/アーティスト名はここには書きません。
中学生だったぼくは自分の足で気になった楽曲を探しました。
レコード屋を回り、レコ本を読み、辿り着くあの気持ち。
ぼくはその思いを大切だと、感じています。
古い考えかもしれないけど。
音楽を知るって、ぼくにとってはそういうもの。

だからヒントだけ出しておきます。
・CDにはなっていません。アナログ聴ける人だけ辿り着けます。
・元○○○○ー○のメンバーのソロ音源です。
・ソロとは言っても奥さんとのデュエットアルバム。

最後のヒント
・アルバム名は「Love」


辿り着けたら素敵だね。
あなたの音楽の旅が無事続いていきますように。


K.K





【今日の新曲】

「ちほちゃんの世界」

何回もおうちに行って
何回も抱き合ったけど
結局恋人にはなれない
結局友達にもなれない

バンドのボーカルをやってる
彼が歌をうたうなら
どんな場所だって行ける
どんな場所だって遠くはないの

「狂ってるね、きみは。」
わたしのことなにも知らないで
そんなこと言えるあなたが一番狂ってる

ちほちゃん
ちほちゃん
ちほちゃんの世界
そこで流れる歌は彼の歌だけ

仕事をしている時だって
料理を作ってる時だって
電車に揺られていたって
あなたの恋人のふりをしている

「狂ってるね、きみは。」
「狂ってるのかな、わたし。」
轢き殺すことをわかってて
車に乗り続けるのはなんでなの?

ちほちゃん
ちほちゃん
ちほちゃんの世界
そこで流れる歌は彼の歌だけ
ちほちゃん
ちほちゃん
ちほちゃんの世界
口ずさんで泣けるのも彼の歌だけ