achula

5/27
金沢AZホールにてTHEラブ人間演奏。
ここ、金沢の地は1年半ぶり。
あいかわらず小京都というべき、芸術と古い街並に包まれた街だ。

風はやわらかい。
水もうまい。
食ったつけ麺はいまいちだった。

金沢にはぼくが勝手に「オシャレロード」と名付けている商店街があって、そこの小さな古本屋がとても好きだ。
ジュール・ルナールの「にんじん」を文庫で買う。

オワリカラとのライブハウススプリットツアーは本日から。
様々な地方で、彼らと熱演する。

この日、一番手の彼らには平手打ちを叩きつけられた。
そして、セカイイチが背中を押す。
我々は1年半ぶりの金沢の
オーディエンスにやっと、問いかける。

【セットリスト@金沢AZホール】
1東京
2悪党になれたなら
3西武鉄道999
4りんごに火をつけて(Light my apple)
5bedside baby blue
6大人と子供(初夏のテーマ)
7これはもう青春じゃないか
8わたしは小鳥
9砂男
10おとなになんかならなくていいのに

この街には音楽をライブハウスで楽しむ若者の絶対数が少ないと、聞いた。
「今は」少ない。だと信じたい。
かつてこの街はロック音楽や、ライブハウスで鳴らされるバンド音楽をいち早くキャッチした街でもあったのだ。
見栄えばかりの虚飾めいた芸術だけじゃないかもしれない、けれど人が目の前で生きるという芸術を見られる場所、自分の心と誰かの心に壁や理由がなくなる瞬間が美術館だけではなく、ライブハウスにもある。

終演後オワリカラセカイイチと居酒屋で打ち上げ。
なんとFMWはいからさんも来てくれた。
人の中には人のやさしさを力に生きる人がいる。
ぼくみたいな、乞食のような男がまさにそうだ。
じゃあ、それはどんな人のやさしさなの?っていうと、
はいからさんのような人のやさしさなのだと思う。

おかげさまでうまい刺身を食う。
やっぱり美しい夜でした。
金沢。また、すぐ。


5/28
新潟へ。
先日と同じメンツでGOLDEN PIGS BLACK STAGEでの演奏。

昨夜からずっと寿司が食いたかった我々、THEラブ人間
リハーサル終わり次第、鬼のスピードで回転寿司へ。
こっちの方は、回転寿司でも死ぬほどうまいわけで、それはもう魚が素材が空気がうまいからなんだろうなあ。

つい3週間まえに初の新潟ライブを行っていたのですが。
ここのスタッフさんとは前回悔しい思いをした記憶もあったりで、今回は完全にリベンジ。

前回はオーディエンスに我々がアゲてもらった。
今回は我々がオーディエンスをアゲる番なのだ。

【セットリスト@新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE】
1西武鉄道999
2わたしは小鳥
3悪党になれたなら
4愛って悲しいね
5大人と子供(初夏のテーマ)
6これはもう青春じゃないか
7砂男
8おとなになんかならなくていいのに

ヒョウリが貸してくれたおもちゃをアンプの上に。
スプリットツアーはじまってまだ2日目なのに、最初のグルーヴが出来上がり始めている。

彼等のアルバム【Q&A】がぼくに語ったように、我々はお互いの問いかけであり、答えなのかもしれない。
もっともっと身を削ってお互いの音に反応しなきゃならん。

ここでセカイイチとはお別れ。
2日間、ありがとう。
様々な音楽を複雑にクロスオーバーさせ、様々な歌唱演奏法で燃え立つセカイイチ
それでも最後にはバンドをやれている喜びを、誰よりも味わって噛み締めて飲み込む岩崎くんにさっさと追いつかないとね。

終演後、オワリカラと打ち上げ。
新潟名物へぎそばを食べました。
うまい。
噛まずに飲む。

ステップワゴンでの帰路、思い出す。
新潟のオーディエンス。
新潟のライブハウススタッフ。
新潟のイベンター。

この街は、期待してくれてる。
いいライブやってくれよ!って。
その為なら、いくらでも熱くなってやるぞ。って言ってくれる。

高速道路の外は真っ黒。
朝はまだ見えないが、本当は近くにもういる。


5/29
休み。
ウッディ・アレン監督の新作「ミッドナイト・イン・パリ」を観に、兄と吉祥寺バウスシアターへ。

2012年のぼくらは遠い1920年のパリに思いを馳せる。
1920年の彼らはもっと遠く1800年代に思いを馳せる。

あの時代に生まれていたらなあ。
あの時代が黄金時代だよね。
古き良き時代。
無限の懐古。

いつだって現状に満足ができない。
いつだって喉は乾きっぱなしだ。
それでも懐かしむのではなく、振り返るのではなく、今自分の足元に、街並に、草花に隠された黄金を見つけることが出来たら素敵だよな。
再確認。
いい映画でした。

カサヴェテス「ラヴ・ストリームス」とアスガー・ファルハディ「別離」も公開終了前に見なきゃ。
ぼくにとって今、映画は「見たい」ものである前に、「見なきゃいけない」ものなのです。
飯を「食いたい」じゃなくて、飯を「食わなきゃいけない」ように。

でも、歌は「歌いたい」ものであります。
義務感や責任感はそこには、ない。
いつだって歌うこと、辞めれます。
でも歌いたいから歌うのです。

ぼくが同業者としてはもちろん、リスナーとしても好きな撃鉄やsalsa、オワリカラ、壊れかけのテープレコーダーズetc...
いつか黄金時代と呼ばれる2012年、現代を担っていて欲しい。
ぼくは、ぼくの歌は文化になんかならなくてもいい。
ひっそりと忘れ去られてしまってもいい。
本当のところは。
いつかの日の為じゃなく、文化や歴史や伝説になるんじゃなく。
今2012年の自分を自分が忘れないために、歌いたい。
今は。


5/30
霞ヶ関にてラジオ収録。

eastern youth新作レコーディング開始をTwitterで発表。
うぎらーーーぬめー(・・?)れーーーーざ!ーーーねほ!!めめせー!ーー!!ーね!けえ!!

本を23冊買う。
動物園に行く。
公園を歩く。
カレーを食べる。
珈琲を飲む。
酒を飲む。
豆腐を食う。
公園で話す。
街並みで話す。
路地裏で話す。
モンサンミッシェルにいつか行く。

漫画喫茶で、毛布にくるまって眠る。
春は遠く。


5/31
スタジオワーク。

サカシマの鈴木くんがレコーディングしていたので、必殺コーラス録音させていただく。
サカシマ、素晴らしいロックバンドです。
スピッツ2ndあたり好きな人は、とりあえず今売ってるであろうミニアルバム買ってみて、新作を楽しみにしてみるのがいいかと。

んでソレカラの佐々木ちんと王将。
彼らのユーストリーム番組の収録でした。
6/12に彼らの企画@7th Floorにて必殺弾き語りライブやります。(くわしくは上の方にあるLIVEページへ。)

んでケンジ×高木企画@BASEMENT BAR&THREEでDJとしてプレイ。
この日はBB17周年月間の最終日でした。

たのしく回させてもらったけれど、所詮本業ではないDJ。
下手!だとか、選曲悪いー!踊れないー!とか言われるのはしょうがない。
けれど、今日の企画者が考えた上で俺は呼ばれてる。
そして、俺が出るってことで楽しみにしてる人も微々たる人数かもしれないが、いる。
いくら罵られてもいい、けれど転換DJの存在まで否定されるってことは認めたくない。

毎日、BASEMENT BAR&THREEの夜は楽しい。
ぼくらのようなはぐれものの大切な大切な居場所だ。

でも幾日も夜を繰り返せば、二度と会いたくない奴らと出逢う夜もあるんだ。
これもまた人生の醍醐味として受け入れたい。
勉強になりました。

しばらくはDJやらないでいいな。
歌いたいもん。


6/1

甲府にてTHEラブ人間演奏。
前回来てから三ヶ月ぶりに来ました。

あいかわらず灰色の街。
ラブホテルと、無機質な建物と道路。
嫌いじゃない。

この日は前回に引き続き、かたすみとわりばしオッパイズがサポートしてくれました。
本当にありがとう。

久しぶりにDroogとも共演だったんだけど、ロックンロールってものはメッセージでも、濃さでも中身でもなく、「我々も、我々の毎日も空っぽである。」ということを思い出した。

彼らの歌からはなにもぼくは手に入らないけど、そのロックンロールへの純粋さというものに輝きを見てしまう、な。

中身は空っぽであり、見栄えは着飾る。
もはやメッセージなんてものには、なんの意味も見出せない。
なぜなら、不良だから。
誰かのことを思ってなんて、歌えない。

それが彼らの年齢でしか鳴らせない音楽だ。
頭でっかちになっていく姿を見たい。
彼は、どんな歌を歌うようになるだろうか。

ぼくはすでに知ってしまっている。
ロックンロールはロックンロール以上にはならないということ。
見栄えは見栄えであり。
空っぽは空っぽだ。

でも音楽は音楽以上にはなる。
音楽は人と人との境目を壊す唯一の方法なのだ。
自分にとって音楽=生活であるならば。

この日、父が見に来てくれた。

【セットリスト@甲府CONVICTION】
1愛って悲しいね
2アンカーソング
3東京
4悪党になれたなら
5砂男
6おとなになんかならなくていいのに
アンコール:病院

カップリングツアー中のオワリカラは、演奏もMCも流れも空気も全部、荒れまくり。
ネイキッドな、丸裸の彼らを見た気がします。
まさに自分の内面のど真ん中にある、核の部分。
それをぎゅっと握って差し出すことをぼくはハードコアと呼びます。


6/2
シアターN渋谷で「ACNE」を観る。

久しぶりに、青臭い映画を観た!!
やっぱり、男の子の魅力は青臭さだな。
それと同時に、そんな直情的で、感傷的な男の子には振り回されることのない女の子っていう生き物は何万倍もすげえ。と思います。


6/3
長野JUNK BOXにてTHEラブ人間演奏。

この街にはとてもとてもたくさんの思い出がある。
いや、この街を「生きてきた人」との思い出がある。

あの人はここでデートをして、手をつないで、キスをしたのだろうか。
あの人はここで恋に落ちて、恋破れて、朽ち果てたのだろうか。
どんな気持ちで東京に越してきたんだろう。
ぼくの「東京」という曲はこの街で産まれた女の子との、歌なのです。

リハーサル後に蕎麦を食べに、善光寺下へ。
その時、ふと目にした帽子屋さんにずーっと探していた近鉄バファローズの帽子を発見。
完全新品、未使用。
店主曰く入荷してから一個も売れていないらしい。

いやいや、近鉄バファローズがまだあった時代に入荷してるってことは、何年前だよ!!
ってなわけでホーム用とアウェイ用のふたつを購入。

なんで、こんな近鉄の帽子に熱くなってるかと言うと、この帽子のデザインは岡本太郎なんです。
ヤフオクで探しはじめて五年。
まさか長野の帽子屋にあるとはな。

今年の夏は近鉄の帽子にサングラスがマストっす!!
見かけたら声をかけないでスルーしてくれ。

蕎麦ももちろんおいしかったです。
蕎麦粉9:小麦粉1のクイチ蕎麦。
蕎麦湯までたっぷりおいしくいただきました。

この日も中島昭一、wani、necoと前回の長野の公演でサポートしてくれたバンドと再開。
本当にありがとう。
みんな人柄がすばらしい。

なによりも一番手の中島昭一さんから、フロアがどんどん熱くなっていく姿を袖から感じていました。

そして、我々の前の出番のオワリカラで完全にJUNK BOXの熱量が爆発。
自分たちの実力以上の演奏をすることができないと、確実にオワリカラに食い殺される。
まさに、高め合いの夜。

我々は前4バンドがつくったマグマに、一滴の冷水を落とすところからはじめました。
静寂は、時になによりも轟くのです。

【セットリスト@長野JUNK BOX】
1愛って悲しいね
2病院
3わたしは小鳥
4これはもう青春じゃないか
5東京
6大人と子供(初夏のテーマ)
7抱きしめて
8悪党になれたなら
9砂男
10おとなになんかならなくていいのに


長野のオーディエンスはなによりも、活きていました。
つよく、あつく、よわく、やさしく。
拳を握り、唇を噛み締め、歯を食いしばる姿をとても鮮明に覚えています。

ぼくはそんなあなたたちのような人間を知っています。
そいつは大学時代の親友の純ってやつ。
彼はまさに優し過ぎて、熱過ぎて、弱過ぎる人でした。
つまり、だれよりも強い人なのです。

そんなあいつは長野出身。
もうすぐ結婚するんだって。
相手は大学時代、いつも一緒にいた可南子。
結婚するんだ。
大人になったんだ。

でも、ステージから見つけたあいつらは、顔も髪型も服も何も変わってなかった。
てーことはさ、大人になることなんて、超余裕なんだよな。

だって、どれだけ中身が変わろうと、環境が変わろうと、俺たちが愛してきたものは変わってないんだ。
そして、例えガラッと、変わってしまっても。
それがなんだよな。
俺たちはちゃんと、また再会できた。

な。大人になることなんて、余裕だよな。

終演後、オワリカラとラーメン。
スプリットツアー前半戦終了。
お互いしばしの別れののち、福岡で再会します。

前半戦を締めくくるのは、オワリカラキーボーディスト、カメダタクの、ツイートで。

オワリカラ×ラブ人間のツアーが面白すぎる。一本一本のライブで絶対に負けたくないという精神力のけずりあいの壮絶さ!しかも超ライバルなのに超応援してるという漫画のような関係性。燃える…!】

【『ガイガン』の熱狂の余韻がまだフロアに残ったままに始まる『愛って悲しいね』のバラード感、空気感がすき】



6/4

ミーティングとスタジオワーク。
新曲のテンポ決め。
歌が何倍もノル。
気持ちいいな。

本を何冊か買い、好きな女の子とビールを呑んでから帰る。

最近、このコと会うとビールを呑んでしまいます。

それは天気のせいさ。

K.K


=今日の新曲=

【ねえ、ミッシェル】

たまたまきみを見つけて
たまたま話をしただけ
たまたま楽しくて
たまたま好きになっただけ

たまたま傷つけて
たまたまきみを抱いて
たまたま好きになってくれて
たまたますれ違っただけ

たまたま広げた本の
たまたま気になったページに
たまたま遠く離れた国に恋をしただけ

モンサンミッシェル
モンサンミッシェル
あなたはこの時代をなんと呼ぶ?

たまたまこの体に
たまたま生まれただけ
たまたまこの心を
たまたま持ってただけ

でもこの体と心を
ぼくだけは捨てれないね
たまたま出逢ったこの体と心をやっと好きになれそう

モンサンミッシェル
モンサンミッシェル
あなたはこの時代をなんと呼ぶ?

モンサンミッシェル
モンサンミッシェル
ぼくたちはこの時代をなんと呼ぶ?

たまたま行った吉祥寺
たまたま寄った動物園
たまたま触れなかったモルモット
たまたま避けた感情

たまたま食べたカレーライス
たまたま手にした古い本
たまたま呑んだレモンサワー
たまたま見つけた会話

たまたま行った公園
たまたま寄ったコンビニエンス
たまたま歩いた梅ヶ丘
たまたま見つけた真実

たまたまあなたが広げた本の
たまたまあなたが気になったページに
たまたま本当に遠く離れた国に恋をしただけ

モンサンミッシェル
ねえ、モンサンミッシェル
あなたはこの時代をなんと呼ぶ?
モンサンミッシェル
ねえねえ、モンサンミッシェル
ぼくたちはこの時代をなんと呼ぶ?

愛を知って弱くなった
愛を知ること それは事件
愛に埋もれて やっと見えた
愛に焦がれて 触れて 失くして
モンサンミッシェル
この時代をそうと呼ぶ